目の中に赤いできものがある
目の中に赤いできものが見える場合、原因はさまざまで、主に「結膜下出血」「結膜嚢胞」「結膜炎による肉芽(結膜の盛り上がり)」「血管性腫瘍」などが考えられます。結膜下出血は、くしゃみや咳、強く目をこすったときなどに毛細血管が破れて出血するもので、痛みやかゆみはほとんどなく、自然に吸収されて治癒します。
一方、結膜の赤いふくらみが持続したり、大きくなったり、痛み・異物感・涙が出るなどの症状がある場合は、炎症や腫瘍の可能性もあるため注意が必要です。
特に長期間治らない、視力に影響が出てきた場合は、悪性の病気の可能性も否定できません。症状が続くときは、自己判断せずに早めに眼科を受診しましょう。
目の中に赤いできものの原因・病気
結膜下出血
充血とは異なり、白目がまるで絵の具で塗りつぶしたかのように広く赤く染まります。出血の範囲は、白目の一部に限られた小さなものから、白目全体に広がる大きなものまでさまざまです。時には血のかたまりのように盛り上がることもあります。
通常は痛みなどの自覚症状はなく、鏡で見たり周囲の人に指摘されたりして初めて気づくことが多いです。出血量が多い場合は、目のゴロゴロ感や異物感を感じることがありますが、基本的には痛みはありません。
もし結膜下出血に加えて目やに、充血、痛み、視界の変化などがある場合は、他の病気が隠れている可能性があるため、眼科の受診をおすすめします。特に強い衝撃や尖った物が目に当たった場合は注意が必要で、結膜が裂けていたり、さらに深い層まで損傷していることもあります。
また、結膜下出血が何度も繰り返される場合は、高血圧や糖尿病などの全身疾患が原因のこともあるため、内科の受診も検討してください。
結膜充血
結膜充血は、白目の血管が拡張して赤く見える状態を指します。通常、白目の血管は細いため目立ちませんが、血管が広がって膨らむと明確に見えるようになります。結膜充血は、病気による炎症や外部からの刺激など、さまざまな原因で起こります。それぞれ順に解説します。
また、お酒を飲んだ後に充血が起こることもありますが、これはアルコールの影響で血管が拡張するためです。
目の病気
結膜炎のほか、ドライアイや角膜潰瘍、ぶどう膜炎など多くの目の病気が結膜充血を引き起こします。充血が悪化したり、痛みや視力低下などの症状を伴う場合は、速やかに眼科を受診してください。
外部刺激
個人差はありますが、ささいな刺激でも充血が起こることがあります。
紫外線
角膜の表面(角膜上皮)に障害が起きると、痛みで目が開けにくくなることがあります。通常は数日で回復しますが、症状が強い場合は眼科受診が必要です。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズが合わなかったり汚れていたりすると充血が起こることがあります。また、コンタクトによるドライアイでも充血が生じることがあります。
ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)
ものもらいは、まぶたの腺に炎症が起こり化膿する病気です。麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と霰粒腫(さんりゅうしゅ)の二つのタイプに分かれ、一般的には麦粒腫を「ものもらい」と呼ぶことが多いですが、地域によっては「めばちこ」や「めいぼ」とも呼ばれます。
麦粒腫はまぶたに細菌が感染して膿がたまる状態で、霰粒腫はまぶたに脂肪がたまる状態を指します。細菌感染を伴う霰粒腫は「化膿性霰粒腫」とも呼ばれます。見た目は似ていますが、症状や原因はまったく異なります。
眼瞼炎
眼瞼炎(がんけんえん)は、まぶたに充血や腫れ(浮腫)、炎症が生じる病気の総称です。
まぶたの皮膚に起こる「眼瞼皮膚炎」、まつげの根元に生じる「眼瞼縁炎」、目の端に発生する「眼角眼瞼炎」があります。
特に高齢者やアトピー性皮膚炎の方に起こりやすい病気です。
眼部帯状疱疹
三叉神経の第1枝が支配する部位(おでこ、眉毛周辺、上まぶた、鼻の皮膚にあたる部分)に病変が現れる状態を指します。
眼部に発症すると、片側の上まぶたから額にかけて痛みが生じ、その後、該当部位に赤みや水ぶくれなどの皮疹が現れます。左右どちらか一方のみに発生するのが特徴で、反対側に広がることはほとんどありません。強い痛みを伴うことが多く、皮膚が治癒しても長期間にわたり痛みや違和感が残る場合があります。
結膜嚢胞
結膜嚢胞は、目の表面を覆う結膜にできる小さな袋状のふくらみで、透明またはやや白っぽいことが多いですが、内部に出血や炎症があると赤く見えることがあります。通常は無症状で気づかないこともありますが、大きくなると異物感やゴロゴロ感を伴うことがあります。こすったり刺激を受けると炎症を起こし、赤く腫れて「目の中に赤いできものがある」と感じる原因になることがあります。自然に消えることもありますが、繰り返す場合や大きさが増す場合は、切除などの処置が検討されます。
結膜炎による肉芽(結膜の盛り上がり)
結膜炎が長引いたり慢性化すると、炎症が繰り返される部位に肉芽と呼ばれる結膜の盛り上がりができることがあります。これが赤く腫れた状態で「目の中に赤いできもの」と見えることがあります。特に細菌性やアレルギー性結膜炎の慢性例で見られ、痛みやかゆみ、異物感を伴うことがあります。治療には抗炎症薬や点眼薬が使われ、改善しない場合は切除されることもあります。見た目に目立つことがあるため、早めに眼科で診断・治療を受けることを推奨します。
血管性腫瘍
血管性腫瘍は、結膜に発生する良性の血管の増殖による腫瘍で、赤く目立つできものとして見えることがあります。代表的なものに「結膜血管腫」があり、赤紫色〜赤色のふくらみとして現れます。生まれつきの場合もあれば、加齢や外傷、慢性的な刺激によって後天的にできる場合もあります。多くは良性で経過観察となりますが、大きくなる、出血しやすい、見た目が気になるなどの場合は、レーザーや手術による治療が検討されます。悪性との鑑別が必要なこともあるため、眼科で診察を受けるようにしましょう。
目の中に赤いできものがあるときの検査
眼の中に赤いできものが現れると、その原因や重要性を正確に判断するためには、眼科の専門的な検査が必要です。
一般的な検査には以下のようなものがあります。
視力検査
目の表面や角膜の健康状態を確認するために行われます。
眼圧測定
緑内障などの病気を排除するために眼圧を測定します。
眼底検査
眼底の血管や神経を詳しく観察し、網膜やその他の眼の構造に異常がないかを確認します。
顕微鏡検査
目の表面や組織を顕微鏡で詳細に観察し、異物や病変の有無を確認します。
これらの検査を通じて、赤いできものの原因を特定し、適切な治療法を提案することができます。症状が現れた際には、早めに眼科の専門医にご相談ください。
目の中に赤いできものがあるときの治療
目の中に赤いできものが見られる場合、原因や症状の程度に応じて、以下のような治療を行います。
点眼薬による治療
炎症や感染が原因の場合には、抗菌薬やステロイドなどの点眼薬を用いて症状を抑えます。
内服薬の処方
ものもらいなどで腫れや痛みが強い場合には、抗生物質や消炎鎮痛剤などの内服薬を併用することがあります。
温罨法(あたためる治療)
まぶたの腫れやしこりに対しては、温かいタオルなどで目を温めることで、血流を促進し、自然な排膿や吸収を促す方法が用いられます。
切開・摘出手術
しこりが大きくなったり、なかなか治らない場合は、局所麻酔下で切開や摘出を行うこともあります。
経過観察
症状が軽く自然に改善することもあります。その場合は定期的な診察で経過を見守ります。
赤いできものは見た目以上に深刻な病気が隠れていることもありますので、自己判断せず、気になる症状がある場合は早めに眼科を受診しましょう。