- 眼球打撲(目をぶつけた)
- 眼球打撲の自覚症状
- 眼球打撲で起こる主な病気
- 眼球打撲の検査
- 眼球打撲の治療
- 目を打撲したら放置してもいいですか?
- 眼球に物が当たった時の対処法は?
- 目をぶつけたらご相談ください
眼球打撲(目をぶつけた)
眼球打撲とは、ボールが目に当たるなどして眼球が傷ついた状態を指します。
眼球は外部にむき出しの状態で、薄いまぶただけで保護されているため、目を閉じていてもボールが当たったり、転倒して目をぶつけたり、子どもの手が誤って当たったりするような軽い衝撃でも損傷することがあります。
眼球打撲の自覚症状
眼球打撲によって次のような症状が現れた場合は、できるだけ早く眼科で検査を受けることが重要です。また、自覚症状がなくても強い衝撃を受けた場合は、念のために検査を受けておくことをおすすめします。
- 視界がかすむ
- 目や目を動かしたときに痛みがある
- ものが二重や三重に見える
- 目が充血している
- 目の内部で出血が起きている
- 視力が低下している
- 視界の一部が見えにくい
- 飛蚊症(黒い点や線のようなもの)が増えた
早めの診察で適切な治療を受けることが、目の健康を守るために大切です。
眼球打撲で起こる主な病気
網膜剥離
網膜剥離は、何らかの原因で網膜に穴や裂け目が生じ、それによって網膜が剥がれていく病気です。主な症状としては、視界の一部が見えづらくなる視覚障害や、光が走るように見える光視症、実際にはない黒い糸くずのようなものが増える飛蚊症の増加などが挙げられます。
眼球破裂
非常に強い力で目に打撃が加わると、白目(強膜)が裂けてしまい、そこから眼球の内容物が外に漏れ出します。白内障手術経験者では、手術時の傷口が裂けることが多く、手術未経験者は目を動かす筋肉の付着部が裂けることが多いとされています。緊急手術が必要な重篤な状態であり、残念ながら手術を行っても視力の回復が見込めない場合もあります。
外傷性白内障
白内障とは、目のレンズである水晶体が濁ってしまう病気です。主な原因は加齢や他の病気の合併症ですが、眼球打撲によって外傷性白内障を引き起こすこともあります。主な症状には、視力低下や視界のかすみ、光がまぶしく感じることなどが挙げられます。
角膜外傷
角膜外傷とは、何らかの原因で角膜に障害が起こった状態の総称です。角膜表面だけが損傷している場合は角膜びらん、角膜の深部まで傷が及んでいる場合は角膜潰瘍と呼びます。角膜に完全に穴が開いた状態は角膜穿孔であり、緊急手術が必要になります。主な症状は、目の痛みやゴロゴロした違和感、異物感、充血、多量の涙などがあります。
結膜裂傷
結膜裂傷は、白目の部分である結膜に裂け目ができた状態の病気です。裂けた大きさによっては縫合手術が必要になることもあります。
前房出血
前房出血とは、外傷などによって角膜と虹彩の間にある前房内で出血が起こり、血液がたまった状態です。前房出血は一度止まっても1週間以内に再度出血する恐れがあるため、しばらく激しい運動を控える必要があります。また、出血の影響で視力低下や眼圧の上昇を認める場合も多いです。
低眼圧症
打撲の影響で、眼の中の房水を作る毛様体という組織の機能が低下し、眼圧が極端に低下する状態です。軽度の場合は自然に回復しますが、重度になると低眼圧黄斑症や網脈絡膜剥離を引き起こし、視力低下や歪みが見られることがあります。
外傷性虹彩毛様体炎
虹彩毛様体炎は一般にぶどう膜炎と呼ばれ、外傷性虹彩毛様体炎とは目への強い衝撃によって虹彩と隣接する毛様体に炎症が起きる病気です。主な症状は目の痛みや充血、視界のかすみなどで、進行すると炎症が他の組織に広がったり、白内障・緑内障を合併する可能性もあります。
水晶体脱臼
水晶体脱臼は、強い衝撃で水晶体を支えるチン小帯が断裂し、水晶体が本来の位置からずれてしまう状態です。これにより近視・乱視・複視などの屈折異常が起きて視力が低下します。完全に脱臼した状態を完全脱臼、部分的なものを亜脱臼と呼び、水晶体摘出と眼内レンズの強膜固定術が必要となります。
眼窩底骨折
眼窩底骨折は、強い衝撃により眼球を覆う骨(眼窩)が骨折した状態です。特に眼窩の下壁や内壁(目と鼻の間)が折れやすく、主な症状は上を向くのが困難になる上転障害や眼球陥没、ものが二重に見える複視です。20歳未満の場合、骨折部に筋肉がはさまることがあり、その際は緊急手術が必要です。吐き気がある場合は注意が必要です。
網膜振盪症
網膜振盪症は網膜が乳白色に濁り浮腫む病気です。通常は網膜の周辺部に起こり、自覚症状は少ないですが、多くの場合は数週間で自然に治癒します。ただし網膜の中心部で起こった場合は、一時的に視力低下や歪みが生じます。
外傷性視神経炎
外傷性視神経炎は、強い衝撃によって視神経が障害される病気です。主な症状は視力低下や視野の一部が見えにくくなる視野障害で、視神経が通るトンネル状の骨(視束管)が骨折している場合は予後が非常に悪くなります。
眼球打撲の検査
眼球打撲の検査では、視力検査や眼圧測定に加え、眼底の撮影検査や詳細な精密検査を行い、状態を把握します。
ものが二重に見えたり、特定の方向を向くのが難しい場合には斜視検査も実施します。
骨折や眼球破裂の疑いがある際は、CTやMRI検査が必要となることもあり、その場合は提携医療機関をご紹介いたします。
眼球打撲の治療
眼球打撲の治療は、軽度の症状であれば目薬や軟膏などの薬物療法で改善を目指します。重度の場合は、レーザー治療や手術が必要になることもあります。
応急処置としては、冷水に浸したハンカチやガーゼを目に優しく当てて冷やすことが効果的です。眼球打撲は発症直後に症状がなくても、数時間から数日後に症状が現れる場合があるため、軽い衝撃でも適切な応急処置を行うことが重要です。
自己判断で放置すると重い後遺症を引き起こす可能性があるため、応急処置の後はできるだけ早く眼科を受診し、検査や治療を受けることをおすすめします。
目を打撲したら放置してもいいですか?
眼球打撲は様々な合併症を引き起こす危険があります。強い衝撃を受けると、眼球内出血や網膜剥離、緑内障、白内障、さらには骨折を伴うこともあります。放置すると失明のリスクが高まるため、早期に眼科を受診することが大切です。
眼球に物が当たった時の対処法は?
目をぶつけた際は、以下の応急処置を行い、できるだけ早く眼科で診察を受けることが重要です。
- 清潔なガーゼやハンカチを冷水で濡らし、まぶたの上から優しく患部を冷やしましょう。
- 目をこすらないように注意してください。特に、メガネのレンズが割れてまぶたや眼球から出血している場合は、さらなる損傷を防ぐため絶対にこすらないでください。
- 鼻血が出た場合は、血液をのどや口の中にためずに適切に吐き出しましょう。
- 鼻水や鼻血がある場合でも、強く鼻をかむのは避けてください。眼窩内の圧力が上がり、症状を悪化させる恐れがあります。
目をぶつけたらご相談ください
目をぶつけた際は、できるだけ早く当院へご相談ください。
眼球打撲の正確な診断と適切な治療を行うためには、受傷時の状況を詳しく医師に伝えることが大切です。
- 受傷原因(当たった物の種類、硬さ、方向、速度など)
- 受傷時の姿勢や状況
- 受傷からの経過時間
- メガネやコンタクトレンズの使用の有無
- 行った応急処置の内容
- 現在の症状(痛み、視力低下、かすみ目など)
これらの情報は、医師が正確な診断を下し、必要な検査や治療を迅速に進めるために役立ちます。